大阪インプラント情報室 Osaka Implant Information Center

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Buccal Fat Pad Graft

Moraes E.J.: Closure of oroantral communication with buccal fat flap in zygomatic implant surgery. A case report

本科学論文は、上顎骨欠損に関連した骨移植片の被覆のため、あるいは口腔上顎洞漏孔閉鎖のために頬脂肪体移植による手法を解説した。有頚頬脂肪体弁移植は口腔上顎洞漏孔閉鎖術において、受容側に即時的な血液供給を行うので推奨される方法である。著者は口腔顔面外科手術に基づく口腔上顎洞漏孔の閉鎖に頬骨インプラントと有頚頬脂肪体移植術を併用した方法を紹介した。
伊藤 正夫 先生訳

解説:頬脂肪体は頬筋内面にあって、咬筋前縁から下顎枝側方から頬骨弓にかけて広がっている。薄い皮膜で覆われ、破るとずるずるいつまでも出てくる。血行が豊富で、血行不良の潰瘍などに大網膜が持ちいられるのと同じ原理で、口腔内の欠損などを良く治療することができる。わたしも口腔上顎洞漏孔の閉鎖に用いたことがあるが、漏孔の直径が5mm異常の場合は本法がよいと著者は述べている。口腔外科では頬側弁は人気がなく、大口蓋動脈を栄養血管とするペディクルフラップが第一選択であった。

抜歯即時インプラントに継発した難治性骨髄炎

Kesting M.R., Thrmuller P.,et al: Severe osteomyelitis following immediate placement of dental implant. Int J Oral Maxillofac Implants 23:137-142, 2008

抜歯即時インプラントのリスクファクターについては広く議論されている。本報告では61歳女性の抜歯窩に即時にインプラント植立を行った後、深刻な合併症である骨髄炎を継発した症例を供覧した。初期治療は再発性の下顎骨周囲膿瘍に対して、外科的ドレナージや高濃度抗生剤の点滴静注を繰り返したが、寛解しなかった。下顎骨半側切除を行い脛骨の血管丙付骨移植によって下顎の部分的再建を行った。
伊藤抄

解説:抜歯即時埋入に伴なう感染症はエンド関連よりぺリオに注意すべきである。日和見感染はエンドよりぺリオに圧倒的に多く見られる。骨髄炎は恐い病気で慢性化すると根治は困難である。昨年、わたしの症例でサイナスリフト部の激痛を訴える患者(同部のインプラントの骨植堅固)は、サイナスリフトに起因する上顎洞炎が否定できたので、骨髄炎を疑い、インプラント、新生骨を切除し寛解したが、いまだに拇指頭大の口腔上顎洞漏孔が残遺している。代用骨などを使って新生させた骨も生活活性が乏しく、感染すると骨髄炎を継発する確立が高いであろう。下顎においては合併症が起きると深刻になりがちな解剖学的特性を持っているので、複雑なケースでは単純化してから行うことを原則としよう。 
伊藤

 

下歯槽管側方移動骨折

una Anibal H.B., Psseri Luis A., et al:Endosseous implant placement in conjunction with inferior alveolar nerve transposition: A seport of an unusual complication and surgical management. Int J Oral Maxillofac Implants 23:133-136, 2008

下歯槽神経移動術を行ってインプラントを植立する方法は、下顎臼歯部において下歯槽管上に十分な高さの歯槽骨がない場合のとりうる方法のひとつである。本法に伴なって起こりうる合併症は長期間の知覚神経異常、感染、病的骨折があげられる。本報告では下歯槽管移動術に伴なって3本のインプラントを植立後、下顎骨骨折を起こした症例を報告した。
伊藤抄

解説:下歯槽神経血管側側方移動術に伴なって下顎骨骨折を起こすという合併症はまれなものでなく、わたしも経験しているし、多くの報告がすでにある。Daniel Laskinは2回法で行った場合の下顎病的骨折に関しては、骨折線上のインプラントも抜去せず保存的整復固定を推奨している。本報告ではプレート固定を行い骨折線上のインプラントは抜去している。わたしも同様の治療を行ったが、本法では舌側皮質骨しか骨格が当初保存されないので、義歯を乗せると高率に起こりうる合併症と考える。 
伊藤

仮骨延長法骨内固定

Pektas Z.O.,Kircelli B.H.,et al: Alveolar cleft closure by distraction osteogenesis with skeletal anchorage suring consolidation. Int J Oral Maxillofac Implants 23:147-152, 2008

口内法による仮骨延長法は、さまざまな歯槽骨欠損の再建に広く用いられている。しかしこれを顎裂に用いる試みは比較的最近のことである。本法は歯槽骨を分割しこれを延長することによって裂に歯槽骨を新生させ、同時に付着歯肉も再生させる方法である。本法の利点は骨採取の必要が無く、骨移植の失敗の可能性を排除することが出来ることである。しかし、比較的長期間にわたる延長器による固定は軟組織を刺激し、それは患者特に子供では治療に対する協力性を失わせかねない。
伊藤抄

咬合

Tawii G.:Peri-implant bone loss caused by occlusal overload: Repair of the peri-implant defect following correction of the traumatic occlusion. A case report. Int J Oral Maxillofac Implants 23:153-157,2008

本症例報告の目的は、咬合による過剰負荷とインプラント周囲骨喪失の関係を示し、このような攻撃力の排除によって、状況を改善させうることを示説することである。9年間安定した状態を示した3本のよく骨結合したインプラントに、不安定な可徹性保綴物を装着することによって、装着6ヵ月後にはすでに明らかな骨吸収を認めた。外傷性咬合の除去は状況を改善させ、インプラント周囲組織は外傷前に近い状態に回復した。この状態で4年間安定している。
伊藤抄

解説:晩期喪失の大半は、インプラントに斜力が加わることによって発生する。定期的な咬合調整と1年に1度程度のレントゲン診査は必須と考える。 
伊藤


2008/4/15 更新


上顎前歯部抜歯窩でのインプラントポジションを根先口蓋側の誘導溝を用いる手法の考案

Ideal Implant Positioning in an Anterior Maxillary Extraction Socket by Creating an Apico-palatal Guiding Slot: A Technical Note
Kyung-Gyun Hwang,DDS,MSD,PhD/Chang-Joo Park,DDS,MSD,PhD

上顎前歯部抜歯窩でのインプラントポジションを根先口蓋側の誘導溝を用いる手法の考案
上顎前歯部抜歯窩へのインプラント即時埋入は通常口蓋壁に沿って植立されるが、インプラント挿入時の不注意な唇側へのスリップによって、薄い唇側板を骨折させたり穿孔する頻度が高い。これを防止するために、非侵襲的抜歯に引き続き、根先口蓋側に誘導溝を形成する方法を考案した。この溝の形成に引き続きドリリングをシークエンシャルに行い、簡単に離動的な軸位にインプラントを位置づけることが出来る。
解説:ラウンドバーにて根先から口蓋側を一定の範囲で平坦に削って根先部にテーブルを作り、その口蓋側にドリリングしていく手法のようである。
伊藤抄

自家皮質骨砕片

GBR and Autogenous Cortical Bone Particulate by Bone Scraper for Alveolar Ridge Augmentation:A 2-Case Report
Leonardo Trombelli,DDS/Roberto Farina,DDS,PhD/Andrea Marzola,MD/Angelo Itro,MD/Giorgio Calura,MD,DDS

歯槽骨再建手法に用いられる移植材のうちでも自家骨がゴールデンスタンダードだということは多くの科学論文で述べられている事実である。歯槽突起の増大は自家皮質骨砕片を含む異なる自家骨移植法で達成されるが、その生物学的活性や治癒動態についての組織学的研究は少ない。チタン強化ゴアテックス膜と臼後結節部からスクレーパーで採取した自家皮質骨砕片によるGBRを行い、9ヵ月後に標本を採取した。分析の結果再建された骨は成熟した骨構造を持った層板骨であった。散在する移植骨の粒子は再生骨と直接接触していた。骨髄組織は正常な間質系組織でごくわずかな移植片を認めた。
解説:バイオオスや最近では遺伝子組み換えPDGFやBMP2などが脚光を浴びているが、基本的に自家骨に勝る移植材は現在のところない。これは骨伝導能、骨誘導能、骨再生能をかね持つ唯一の物質である。
伊藤抄

子牛ミネラルブロック

A Bovine-Bone Mineral Block for the Treatment of Severe Ridge Deficiencies in the Anterior Region:A Clinical Case Report
Marius Steigmann,DDS

子牛ミネラルブロック(バイオオス海面骨ブロック)を水平性、垂直性の高度骨吸収症例に応用した。ブロックをは完全に欠損に適合するよう形成でき、これは自家骨採取やスクリューによる固定を不要にする。6ヶ月の結合期間を経た後インプラントを植立し、さらに6ヶ月待機し、上部構造を装着した。3年経過観察した。その結果ブロックと周囲骨の間で緩やかな骨吸収が発生したが、軟組織支持や審美性に影響を与える隣接骨頂は維持された。本法は有用であろう。
解説:最近バイオオスブロックをBMP2のキャリアーにして移植する手法がアメリカを中心に臨床応用され始めている。コストの問題、十分なフェーズ試験が必要であろう。
伊藤抄

オステオトームテクニックによる良性突発性めまい

Benign Paroxysmal Vertigo Secondary to Placement of Maxillary Implants Using the Alveolar Expansion Technique with Osteotomes:A Study of 4Cases
Miguel Penarrocha-Diago,MD,PhD,MS/Javier Rambia-Ferrer,DDS,MDS/Vanesa Perez,MD/Herminio Perez-Garrigues,MD,PhD

オステオトームテクニックによる歯槽堤拡大術を用いたインプラント植立後の良性突発性めまいの4例
オステオトームテクニックは上顎の歯槽突起萎縮症例ではしばしば用いられる手法であり、非常に有用でもある。しかし本法に起因した良性突発性空間失調性めまいについて報告した。オステオトームテクニック時のマレットによるトラウマが頚部の過伸展と強調して耳石の位置以上をきたしめまいを継発する。こ根治的治療法は半規管内で位置異常を起こしているカルボン酸カルシウムの結晶を卵形嚢に戻してやるようにマニピュレーションすることであり、これは神経耳科医の仕事である。予防は特に年配の患者において過剰なマレッティングを避け、ドリルと併用することによって外傷を最小化することと頚部の過伸展を避けることである。
伊藤抄

Positive effect of early loading on implant stability in the bi-cortical guinea-pig model

歯科においてインプラント埋入後の早期荷重に多くの関心が寄せられている。共振周波数装置によって測定されるインプラントの初期固定の度合いは、いつ即時及び早期荷重を行なうべきかの予知因子として特定されている。共振周波数分析(RFA)によって早期(7日後)の力学的荷重が骨性結合の確立に及ぼす影響を調べた。モルモット10匹の両側脛骨に、チタン・インプラントを経皮的に植立した。インプラント埋入後1週間後にインプラント1本(試験)に毎日6週間荷重し、もう1本は非荷重(対照)とした。正弦波状に変化する曲げモーメントを、周波数3Hz、力の大きさ5N1800サイクルにて負荷した。共振周波数をインプラント植立時と、その後1週間ごとにOsstellを用いて測定した。対照のインプラントは、植立後1週間後に安定性が減少し3週間後に最低値(−200Hz)となったが、試験インプラントは経時的に安定性が増加した。6週間後に試験及び対照インプラントの平均共振周波数は同じ値になった。最近の文献で確認されているように、早期荷重はチタン・インプラントの骨性インプラントの達成にとって危険ではない。

他方荷重の制御は、極めて重要な意味を持つ治癒期間の早期にRFAによって測定されるインプラントの安定性を維持するのに有効である。

Offcial Publication of the EAO

Histologic and histomorphometricanalysis of three types of dental implants following 18 months ofocclusal loading: a preliminary study in baboons

異なるデザインと表面性状を有する歯科インプラントについて、機能的荷重後に骨面積(BA)と骨ーインプラントの接触(BIC)の比率を測定した。ヒヒの下顎臼歯部に3つのタイプ歯科インプラント(商用純チタン製スクリュー型CpTi:グリップブラスト・酸エッチングを施したスクリュー型GBAE:チタンプラズマ溶射のシリンダー型)を埋入し、固定式部分義歯を装着した。片顎ごとに同じゼザインの3本を入れた。機能的荷重後18ヶ月後に全てのインプラントは顎骨と結合しており、組織形態測定分析を行なった。組織学的には、インプラント表面とインプラント周囲の骨の間に結合組織の介在なしに直接のBICが認められた。インプラント周囲1mm以内のBAの分析によって、上顎においてCpTi(50.5%)とTPS(39.7%)の間に有意差が認められた。全体としての所見は、絶対BIC値は上顎ではスクリュー型インプラントの方がシリンダー型よりも高く、18ヶ月の機能的荷重後に絶対BIC値は下顎より上顎の方が低いことを示した。

By the EAO

セメント固定式インプラント上部補綴の、7セメントの維持効果および辺縁漏洩

Comparison of 7 Luting Protocols and Their Effect on the Retention and Marginal Leakage of a Cement-Retained Dental Implant Restoration

目的:アバットメントにセメント合着した鋳造物の強度と辺縁漏洩を判定することが目的である。
材料および方法:56のチタン製アバットメントと鋳造物を準備し7群に分けて、8検体を1つの材料に対応させた。材料はレジン系3種(RES,RES-B,RES-B-P),
レジン強化グラスアイオノマート(GI)、ポリカルボン酸(PCB)、アクリルウレタン(UDM)、燐酸亜鉛(ZP)である。検体は37℃湿度100%中に24時間置いた。その後加圧実験系と加温実験系に入れた。その後24時間0.5%フクシンに浸漬した。規格化された装置により鋳造物を除去し、セメントの破断力と漏洩を評価した。
結論:メーカーが暫間用と指定したセメントはもちろん永久用と指定したセメントに比べて維持力が弱く、維持力はレジンが最も強く、ついで燐酸亜鉛、ポリカルボン酸の順であった。暫間用セメントは高強度のものに比べて、漏洩を認めた。 伊藤正夫先生訳

インプラント植立に伴う垂直性GBR:2種類のテクニックの有効性

Vertical Bone Augmentation with Dental Implant Placement:Efficacy and Complications Associated with 2 Different Techniques. A Restrospective Cohort Study

自家骨を用いた垂直性GBRをインプラント植立と同時に行なった。一種はチタン強化型ゴアテックスメンブレン、もう一種は骨接合プレートで顎堤を付形し、吸収性メンブレンで被覆した。両群とも良好な骨新生を認め、差はなかった。伊藤正夫先生訳

オトガイ棘上孔のマクロ解剖及びエックス線学的特徴

Macroanatomic and Radiologic Characteristics of the Superior Genial Spinal Foramen and Its Bony Canal

オトガイ棘上孔のマクロ解剖及びエックス線学的特徴
目的:オトガイ棘上孔の大きさ、位置、管の構造を知ることを目的とする。
材料および方法:380の屍体の下顎を対象に、オトガイ棘上孔の下顎基部からの距離、大きさを検討した。エックス線学的に本管の下顎切歯管との関係も検討した。
結果:98%に本孔を認めた。形状は円形もしくは扁平なじょうご型をしていた。舌動脈および舌神経の終枝が走行した。
結論:下顎正中におけるインプラント植立は神経血管系の損傷を起こす危険性がある。

サイナスオーギュメンテーションにおける多孔性合成ハイドロキシアパタイトと子牛由来ハイドロキシアパタイトの比較

axillary Sinus Augmentationn with a Porous Synthetic Hydroxyapatite and Bovine-Derived Hydroxyapatite:A Comparative Clinical and Histologic Study

サイナスオーギュメンテーションにおける多孔性合成ハイドロキシアパタイトと子牛由来ハイドロキシアパタイトの比較
目的:合成HAとバイオオスの比較を行なう。
材料及び方法:上顎洞骨造成が必要な患者に100本のチタンインプラントを植立し、半数には多孔性合成HAを、残りにはバイオオスを移植し、6ヶ月後に骨を採取し検討した。
結果:双方の群とも2本づつのインプラントが脱落した。すべての患者は1年の経過観察を行ない、双方とも新生骨で取り巻かれていた。
結論:多孔性合成HAとバイオオスには差がない。

3D人凍結乾燥骨移植

Simplified Onlay Grafting with a 2-dimensional Block Technique:A Technical Note

ブロックボーングラフトでは移植骨と母床が密着しないと、生着しない。そこで人凍結乾燥骨を、3DCTによって患者顎骨の3次元モデルを作成し、それに合わせて加工し、移植する方法を論述している。
解説:合衆国では人凍結乾燥骨が骨バンクより供給され、臨床に用いられている。自家骨とのトライアルは未だ定かでないとともに、感染症の危険性を完全には排除できない。

セメント合着後の鋳造補綴インプラント上部構造の皮膜厚さと維持力

Retention Forces and Seating Discrepancies of Implant-Retained Castings After Cementation

セメント合着後の鋳造補綴インプラント上部構造の皮膜厚さと維持力:
  目的:材料の種類によってあるいは使用法によって、浮き上がりや維持力に差が出ないかを検討することである。 
  材料および方法:ユージノールフリーの酸化亜鉛、燐酸亜鉛、グラスアイオノマー、ポリカルボン酸、レジンを用いた。鋳造物の内面を完全に覆う方法と半分だけ覆う方法を検討した。アバットメントは鏡面研磨のものと表面をエアーアブレージョンしたものの2種を検討した。
  結果:いずれの方法でもマージンのセメント厚さは変わらず、ポリカルボン酸が最大の維持力を示したが、酸化亜鉛と燐酸亜鉛/グラスアイオノマ群とポリカルボン酸/レジン群の間には統計学的有意差を認めた。
  全面コーティングであっても、半分のコーティングであってもいずれにおいても差は認めなかった。エアーアブレージョンはいくつかのものでは維持力向上に有効であった。
  結論:いずれのセメントにおいても鋳造物の内面の半分をコーティングする方法は、全面コーティングと維持力の差を認めなかった。

ハイドロキシアパタイトコーティングインプラントの長期成績(080228)

Long-Term Follow-up of Hydoroxyapatite-Coated Dental Implants - A Clinical Trial

セメント合着後の鋳造補綴インプラント上部構造の皮膜厚さと維持力:
  目的:セメントの種類によってあるいはセメントの使用法によって、浮き上がりや維持力に差が出ないかを検討することである。
  材料および方法:ユージノールフリーの酸化亜鉛セメント、燐酸亜鉛セメント、グラスアイオノマー、ポリカルボン酸セメント、レジンセメントを用いた。鋳造物の内面を完全にセメントで覆う方法と半分だけ覆う方法を検討した。アバットメントは鏡面研磨のものと表面をエアーアブレージョンしたものの2種を検討した。
  結果:いずれの方法でもマージンのセメント厚さは変わらず、ポリカルボン酸が最大の維持力を示したが、酸化亜鉛と燐酸亜鉛/グラスアイオノマ群とポリカルボン酸/レジンセメント群の間には統計学的有意差を認めた。
  全面コーティングであっても、半分のコーティングであってもいずれのセメントにおいても差は認めなかった。エアーアブレージョンはいくつかのセメントでは維持力向上に有効であった。
  結論:いずれのセメントにおいても鋳造物の内面の半分をセメントでコーティングする方法は、全面コーティングと維持力の差を認めなかった。エアーアブレージョンはセメントによっては維持力を向上させた。伊藤正夫先生訳

Alloxan誘導性糖尿病家兎の頭蓋形成術に対する均質脱灰象牙質器質の応用:組織計測学的評価

Homogenous Demineralized Dentin Matrix for Application in Cranioplasty of Rabbits with Alloxan-Induced Diabetes:Histomorphometric Analysis

目的:アロキサン誘導性糖尿病家兎の頭頂骨に欠損を作成し、均質脱灰象牙質器質(HDDM)の移植がいかに骨修復過程に関与するかを評価することにある。材料および方法:48頭の兎を4群に分けた。対照群、何も移植しない糖尿病うさぎ(D)、ゴアテックス膜で被覆した糖尿病うさぎ(D-PTFE)、HDDMを移植しゴアテックスで被覆した糖尿病うさぎ(D-PTFE+HDDM)である。糖尿病はアロキサンの1回の静脈注射で誘導した。家兎は術後15,30,60,90日で屠殺した。結果:再生骨構造の質、量ともにD-PTFE+HDDM群が他群を上回り(P<0.01)、骨密度は15~90日で増加した。結論:たとえ糖尿病の患者に対してであっても、HDDMは骨形成を活性化する効果がある。

解説:近年GBRに様々なサイトカインやこのような未精製の様々な物質が用いられ、骨誘導を分子生物学的に行おうとする潮流がある。研究はいずれも観察期間が短く、サンプルサイズも小さい。したがってもっとも重要な骨組織の分化に関しての情報が少ない。サイナスリフトなど周囲骨が少ない環境でのGBR(サイナスリフトもGBRである)の長期予後にに関しては、未だ判然としない。組織再生は、細胞移動、細胞分裂、組織分化の過程を経て完了するが、分化が十分でないとインプラントを支えるのに十分な構造体ができたとはいえない。サイナスリフト後の晩期脱落については、咬合などの外傷要因はさることながら、骨改造機転が十分進行しないのではないかと推測している。

抜歯即時埋入即時荷重

SImmediate Occlusal Loading of Implants Placed in Fresh Sockets After Tooth Extraction

目的:本研究の目的は、抜歯即時埋入即時荷重18ヶ月後の臨床およびエックス線学的成果を評価することである。材料および方法:27名の患者内女性15名、男性12名に対して、160本のインプラントを植立した。150本は抜歯即時埋入を行い、いずれの抜歯窩の壁も完全に保存されていた。残り10本は治癒した部位へ植立した。手術後すぐにすべての患者は、アバットメント上に暫間補綴をセメントで固定し、口内法によるデジタルエックス線写真を術後3ヶ月と18ヶ月で撮影した。結果:歯肉のわずかな腫脹以外の合併症は認めなかった。1年18ヶ月後の辺縁骨の喪失は平均で、上顎近心0.65±0.58mm、上顎遠心0.84±0.69mmで、下顎近心1.13±0.51mm、下顎遠心1.24±0.60mmであった。連結と単独では差はなかった。結論:本臨床研究の範囲内では、抜歯即時埋入即時荷重は成功しうる治療法である。

解説:成功の要点は、初期固定30Ncm以上、完全でなくとも4壁性骨欠損で、もっとも薄い骨壁の厚みが2mm以上であること。辺縁骨とインプラントのギャップが2mm以内であること。もっとも薄い骨壁上の粘膜を剥離しないこと。中心咬合位のみで接触させること。暫間補綴でなく永久補綴の場合は術後2週間以内にセットするなどがあげられる。伊藤正夫先生訳

抜歯即時埋入において、プラットフォームスイッチを用いた時のインプラント周囲軟組織、硬組織の保存:
12から36ヶ月の観察期間に基づくプラットフォームスイッチの概念証明研究:

Preservation of Peri-implant Soft and Hard Tissues Using Platform Switching of Implants Placed in Immediate Extraction Sockets:A Proof-of-Concept Study with 12-to 36-month Follow-up

プラットフォームスイッチとは、アバットメント、フィクスチャー連結が平面対平面で接合するタイプのインプラントシステムにおいて、普通より細いアバットメントを接合することを言う。上顎の骨吸収のない10の新鮮抜歯窩を用いた。抜歯即時に6mm径のフィクスチャーを植立し、4mm径のアバットメントを接合した後、プロビジョナルクラウンをセットし、咬合させないようにし、3ヵ月後に永久補綴を施行した。永久補綴施行後6ヵ月ごとにエックス線学的、ポケットプロービング値、歯肉退縮や歯冠乳頭の高さを計測した。近遠心の歯槽骨縁の骨の高さも計測した。
  その結果、9名の患者に対して10箇所の治療を行なった。平均22ヶ月経過観察した。すべての10本のインプラントは骨結合を確立し、平均骨喪失量は0.78±0.36mmで、文献上の平均値1.7mmを統計学的に有意に下回った。プロービング値は3mmを超えるものは無く、退縮も無くむしろ頬側歯肉は0.2mm獲得し、歯冠乳頭は0.25mm獲得した。
  結論:プラットフォームスイッチを用いた抜歯即時埋入、即時荷重はインプラント周囲の硬組織、軟組織、および歯冠乳頭を保存しうる方法であると結論した。伊藤正夫先生訳

成人骨髄由来のヒト間葉系前駆細胞の分化が与 える骨―インプラント間での初期骨合成に与える関係

Schweiz Monatsschr Zahnmed. 2007;117(9):906-10.

インプラントの表面性状が骨結合に大きな影響を与えることは臨床経験上理解で きる。これらのことは未分化細胞や骨髄細胞由来の骨原性のマーカーと関係があ ることが分かっている。筆者らは成人骨髄由来のヒト間葉系前駆細胞の分化が与 える骨―インプラント間での初期骨合成に与える関係などの影響について検討し ている。機械研磨のチタンと酸処理のチタンとの間で検討している。結果として は7日間から14日間の間では細胞密度に変化がなかった。細胞数に関しては酸処 理したチタンの方が多く表面積に比例していることが考えられた。アルカリフォ スファターゼ(ALP)は基質では変化がなかったが、骨シアロタンパク質は14日 以後において酸処理群において10倍mRNAの発現量が多く認められた。酸表面処理 群は前駆細胞内のBSP上昇は細胞分化が早いことにより説明できる。したがっ て、臨床的にも早期のインテグレーションや、より早い荷重が行えることになろ う。チタン表面性状と骨結合の関係はすでに酸処理が良好な結果を招くことは、 多くの報告からも分かることであるが、今後は更なる処理を加えることが、より 良い結果を招くかを議論して行くことになるだろう

インプラントブリッジにおける支台となるインプラントの傾斜が辺縁骨 に及ぼす影響 5年後の評価

Clin Oral Implants Res. 2007 Oct;18(5):585-90. Epub 2007 Jun 30.

本研究はインプラントブリッジにおける支台となるインプラントの傾斜が辺縁骨 に及ぼす影響について検討している。38名42か所を評価した。5年経過で観察し たところ、傾斜したインプラントと歯軸位で植立したインプラント間のブリッジ の骨吸収には有意差を認めなかった。植立状態が良ければ、たとえ傾斜していよ うが予知性の高いインプラント治療が可能であることが結果として出てはいる が、上部構造の咬合関係の付与が大きく予後を左右することも忘れてはならな い。高野先生訳

チタン表面処理が血漿タンパクの吸着に及ぼす影響

Clin Oral Implants Res. 2007 Oct;18(5):630-8. Epub 2007 Apr 30.

インプラント表面のチタン処理とインテグレーションの初期段階で必要な血漿タ ンパクの吸着に及ぼす影響について検討している。機械研磨、酸エッチング、酸 エッチングとブラスト処理の併用の3郡で比較検討している。酸エッチングと機 械研磨の表面より、酸エッチングとブラスト処理したチタン表面の方が、粗さの 値が高く、酸化チタン層の厚みが大きかった。さらに、酸エッチングとブラスト 処理の表面は高い表面積の分化を示していた。そして酸エッチングと機械研磨の 表面より、酸エッチングとブラスト処理したチタン表面の方が血漿タンパクの吸 着量、密度ともに高かった。以上より酸エッチングとブラスト処理したチタン表 面がより多く、かつ早く骨結合を行うと示唆された。近年、様々な表面処理を 行ったフィクスチャーが販売されているが、そろそろ技術的に落ち着くところに 来たのではないだろうか。高野先生訳

即時埋入したインプラントにおける臨床的・審美的検討

Clin Oral Implants Res. 2007 Oct;18(5):552-62. Epub 2007 Jun 30.

無機牛骨を移植して即時埋入した粘膜貫通型インプラントにおける周辺骨欠損の 治癒を評価して、3~4年間の経過観察を行っている。30名の上顎前歯部に30本の インプラントを埋入してBioOss、BioOssと吸収性メンブレン、移植無しの3郡で 比較検討した。垂直的骨吸収は各郡で有意差は認めなかったが、水平的骨吸収は 移植無しの群が有意に高かった。特に唇側の粘膜退縮が有意に変化を認めた。結 論としてはBioOssは水平的骨吸収を有意に減少させた。また、筆者らは抜歯窩に 対して舌側に埋入して、適当な径のフィクスチャーを入れショルダーを2mm程度 に納めることによって予知性の高い埋入ができると結論付けている。

インプラント周囲炎サイトカイン

Int J Periodontics Restorative Dent. 2006 Apr;26(2):135-41.

脱落しつつあるインプラント周囲組織では、破骨細胞を制御するサイトカインが活性化している可能性がある。そこで脱落しつつあるインプラント周囲組織あるいは歯肉を採取し、検体に供するともに、慢性歯周炎と健全な歯肉を採取し免疫組織化学的に比較検討した。検討したサイトカインはα腫瘍壊死因子(TNF-alpha)、アルファ1インターロイキン(IL-1alpha)、IL-6、血小板由来成長因子A、変異成長因子アルファ(TGF-alpha)である。これらのサイトカインは異物巨細胞、大食細胞、線維芽細胞や上皮細胞に認められる。インプラント周囲炎や慢性歯周炎ではTNF-alpha,IL-1alpha,IL-6が有意に上昇していた。一方でPDGF-AとTGF-alphaは上昇しなかった。結論として、破骨細胞を活性化するサイトカインはインプラント周囲炎でも慢性歯周炎でも認められた。しかしプロファイルが異なり、インプラント周囲炎ではIL-1alphaがもっとも強い影響を持ち、慢性歯周炎ではTNF-alphaがもっとも一般的であった。これらのサイトカインが破骨細胞の活性化をもたらしインプラント周囲骨の喪失とインプラントの脱落を招くものと考えるので、サイトカイン刺激物質をターゲットとした局所治療の開発が有効であろう。伊藤正夫先生訳

PDGFによるGBR

Int J Periodontics Restorative Dent. 2006 Oct;26(5):415-23.

本研究の第1の目的は、犬を用いた規格モデルにおいて、精製された人遺伝子組み換え血小板由来成長因子(rhPDGF-BB)と脱タンパク子牛海綿骨のブロックを用いた垂直性骨造成の成果を評価することである。第2の目的は吸収性バリアーメンブランが本法の成果を改善するかどうか検索することである。

 フォックスハウンド成犬6頭を実験に供し、両側すべての下顎小臼歯を抜歯した。抜歯時に垂直性骨欠損を形成した。3ヵ月後に人工的に作った骨欠損に対して、移植を行なった。A群は脱タンパク子牛海綿骨ブロックとコラーゲンバリアーメンブレンを併用した。

B群は脱タンパク子牛海綿骨ブロックにrhPDGF-BBを注入したものを用いた。C群はB群と同じ処置に吸収性コラーゲンバリアーメンブランを用いた。4ヵ月後に動物を屠殺した。組織学的所見では、B群において大量の新生骨を認め、骨インプラント接合面積も高く、新生骨はカバースクリューの上まで形成されていた。この犬を用いた臨床前研究成果はrhPDGF-BBを脱タンパク子牛海綿骨ブロックと併用し、かつバリアーメンブランを使用しない方法の優位性を示しおり、下顎高度顎堤吸収症例において十分な骨新生を提供しうる可能性を示した。加えるに、成長因子が介在する骨再生療法においては骨膜由来の前骨芽細胞の重要性がポイントであると示唆された。

解説:現在、北米、欧州ではBMP2やPDGFをキャリアーとしてバイオオスを使用した商品が販売されている。これらのサイトカインは生体内で異所性に骨を誘導することが解明されている。これらを用いたGBRはOsteoprogeniter cellsを活性化することから仮骨機転が開始するので、骨膜を遮断するバリアーメンブランは不要とする考え方である。一方で従来のGBRは、骨欠損を周囲から隔離することで、骨由来の細胞のみが隔離環境を占めるという考え方である。したがってバリアーメンブランが不可欠であった。つまるところ現況ではGBRの理論的根拠はいまだ脆弱である。本論がGBRの開発者によって著されたことも付記したい。伊藤正夫先生訳

腸骨移植

J Oral Maxillofac Surg. 2007 Oct;65(10):2039-46.

極度に萎縮した上顎に対する、前腸骨稜からの骨移植の成否、およびそこに植立したインプラントの臨床成績を評価することが本研究の目的である。56名の成人に対してオンレイボーングラフトを行い、4,5ヵ月後にインプラントを植立した。

129のグラフトが行なわれたが、垂直性造成を試みた3例は早期露出のため撤去せざるを得なかった。162本のインプラントが植率されたが、7本は脱落した。インプラント周囲の骨喪失は平均0.05mm+/−0.2mmであった。前腸骨稜からの骨移植は上顎高度吸収顎堤には信頼できる手法であると結論した。

垂直性GBR

Clin Oral Implants Res. 2007 Oct;18(5):620-9.

目的:人において垂直性骨造成を行なう際に、脱タンパク子牛ミネラルと自家骨を1:1に混和しe-PTFE膜と併用した場合の効果性について、組織学的、組織形態学的検討を行なった。

材料および方法:下顎の部分欠損症例7名の患者に対して10箇所の垂直性骨造成を前記のレシピを用いて行なった。27本のBranemark implantを植立した。骨造成した領域から11検体を生険し、組織学的および組織形態学的に解析した。

結果:治癒期間になんら問題なかったが、1部位のみ3ヶ月語に膜が露出した。アバットメント連結時にはいずれのインプラントも安定しており、硬い再生組織、臨床的には骨内に存在していた。組織学的には新生骨の生成と進行中の骨改造機転と脱タンパク子牛ミネラルを認めた。

結論:垂直性GBRにおいて、1:1比率に混和した自家骨と脱タンパク子牛ミネラルにチタン強化e-PTFE膜の組み合わせは有効であると判定した。伊藤正夫先生訳

BMP歯周治療

J Periodontal Res. 2005 Aug;40(4):299-305

目的:骨誘導タンパク(BMP)を使用した歯周再生法の合併症は、骨性癒着である。BMP応用後の骨性癒着の消失は小さな骨欠損の場合に観察されており、それは歯周組織再生に有利であろう。しかし大きな骨欠損ではこのような骨性癒着の消失は観察されていない。

本研究の目的は、Class3分岐部病変への人遺伝子組み換えBMP-2(rhBMP-2)応用による歯周再生法中の骨性癒着の解消法を確定することにある。

材料および方法:6頭の成猫の小臼歯にClass3分岐部骨欠損を作成した。RhBMP-2移植剤はrhBMP-2をポリ乳酸ポリグリコール酸共重合体とゼラチンスポンジを担体とし、対照群には担体のみを使用した。そしてこれらを骨欠損部に移植した。猫は術後3週、6週、12週で屠殺し、組織学的、組織計測学的検討に供するため連続切片を作成した。

結果:骨性癒着はrhBMP-2担体群の数検体に3週と6週で認めたが、12週では認めなかった。骨性癒着を起こしたrhBMP-2担体群の6週で破骨細胞様細胞を認めた。骨性癒着を生じなかったrhBMP-2担体群の3週では骨と歯根表面の間に担体の介在が明らかであった。

結論:rhBMP-2使用による骨性癒着の解消には破骨細胞様細胞の関与が示唆された。骨性癒着防止には担体の介在が寄与するところが大きいと推測する。伊藤正夫先生訳

BMP2コート

1: Clin Oral Implants Res. 2005 Oct;16(5):563-9

 本研究の目的は、チタンインプラント表面に固着された骨誘導タンパク(BMP2)がインプラント周囲の骨造成を促進するかどうかを判定することである。10頭の雌性フォックスハウンド成犬に、すべての小臼歯抜歯3ヶ月後に実験的チタンスクリューインプラントを植立した。3種のインプラント表面を作成して、相互に評価した。すなわち、1.鏡面研磨の表面を持つインプラント、2.コラーゲンtype1でコートしたインプラント、3.コラーゲンtype1とコンドロイチン硫酸とBMP2でコートしたインプラントを用いた。インプラント周囲の骨再生は組織形態計測を行なった。すなわち術1ヶ月後と3ヵ月後に骨インプラント接合率(BIC)と新生骨の骨密度(BVD)を計測した。1ヵ月後では特に有意なBICの増加は認めなかったが、BVDはコートしたインプラントが有意に高い密度を示した。コラーゲンのみとBMP2を加えた群間の差は認めなかった。3ヶ月後ではBICは2.と3.のグループで1.よりも有意に高く、BVDも同様であった。

 すなわちコラーゲンコートはBICと骨新生を増強するが、BMP2の添加はそれをさらに増強することはないという結論であった。
伊藤正夫先生訳

BIOPEX-R骨新生機転

Microsc Res Tech. 2007 Oct 17;

本研究は、自己硬化性3燐酸カルシウムセメント(BIOPEX-R)をインプラント植立部位へ移植した時の、組織学的所見を検索することである。生後4週のWistar系雄性ラットの上顎に植立したインプラントに隣接して規格化された骨欠損を形成した。骨新生を次の2箇所で観察した。すなわち1.歯槽骨に隣接したBIOPEX-Rの表面、2.移植剤とインプラントの界面である。1.では酒石酸抵抗性フォスファターゼ(TRPase)反応性破骨細胞が,

BIOPEX-R表面に集積しインプラントの方向へ移動した。その後アルカリフォスファターゼ(ALPase)陽性骨芽細胞が新生骨マトリックスを形成し、破骨細胞とのカップリングを示した。一方で2.では、多数の破骨細胞が、初期にインプラントと移植剤の狭いギャップに侵入し、ふたたびALPase陽性骨芽細胞が破骨細胞とのカップリングを示し、骨吸収後に新生骨のマトリックスが形成された。透過型電子顕微鏡所見では、2.の領域においてインプラントと新生骨は、細胞数は少ないものの、直接接触していた。1.,2.領域ともに新生骨は組織学的に皮質骨に類似の形状を示した。またCa,P,Mg量は以前にそこに存在した皮質骨に類似していた。したがってBIOPEX-Rをインプラント周囲に移植した場合、皮質骨が形成されることがわかった。

解説:新生骨形成時に最初に骨吸収が生じて、それに誘発されて新生骨の器質形成が発生することは新知見であると思う。伊藤 正夫先生訳

自家骨をメンブレンで覆うエビデンス

Int J Oral Maxillofac Implants. 2007 May-Jun;22(3):390-8.Click here to read

自家骨移植は骨欠損に対する骨移植の術式としては標準的な方法であるといえる。メンブレンによって自家骨を覆う(GBR)は続いて起こる吸収を防ぐことを期待する。GBRは臨床的に非常に良い結果をもたらしている。しかし合併症やコストがかかるなど不利な点も否めない。しかしながら最も重要なことは結果をコントロールしづらいことである。本論文の目的は自家骨オンレーグラフトにメンブレンを用いることにより骨吸収を防ぐことのエビデンスの評価をおこなっている。ヒトと動物合わせて182の文献から検索している。ほぼ全ての著者がメンブレンを用いることにより骨吸収を防ぐことにエビデンスがあると述べている。しかしこれらを結論付けることは難しく、動物実験ではエビデンスを認めるかもしれないが、ヒトに関しては困難であるとしている。ほとんどの実験データは検体数が小さすぎる。さらに骨移植部位の隔離が上手くなされておらず、有意差を検討するには曖昧すぎる懸念がある。結論としては現時点では自家骨をメンブレンで被覆することにより骨吸収を防ぐということはエビデンスがあるとは言い切れないとしている。自家骨移植にメンブレンを併用することは無いが、多くのケースで骨吸収してしまうのは経験上避けられないと考えられていたことなので、今後もメンブレンの併用についても検討の余地があり、エビデンスがあるならば使用をしていくべきであると思われる。

ビスホスホネートとインプラント

Int J Immunopathol Pharmacol. 2007 Jul-Sep;20(3):455-66.

ビスホスホネートは幅広く使用されて、骨の吸収を抑えることにより骨密度の減少を抑制する製剤である。さまざまな骨疾患に使用され、多発性骨髄腫、骨粗しょう症の治療薬として使うほか、ガンの骨転移のときにも用いられる。本論文では、ビスホスホネートの物理化学的な性質と生物学的な活性とメカニズムについて、実験的にin vitroとin vivoの両方で検証している。歯槽骨における薬剤の効果のプロセスは骨移植に対しては効果的に働いていると考えられる。しかし、注意すべきことはアミノビスホスホネートの全身投与後3-4年にわたって顎骨壊死が出現する可能性があることである。この副作用はアミノビスホスホネート以外の投与では出現しないことが分かっている。本稿ではビスホスホネート投与患者のガイドラインを定義することである。ガイドラインのいずれにしろ整形外科にかかっており、骨粗しょう症などで治療を受けている患者に関しては十分注意する必要がある。放射線性壊死なども含めて、一般歯科治療でも知らずに手を出すと痛い目に合うことは自明なので十分に注意するべきである。

ncHAの骨補填材

Clin Oral Implants Res. 2007 Sep 21

本論文の目的は、歯槽骨欠損に対してnano-crystalline hydroxyapatite (ncHA)の骨補填材にて修復したものを検討した。方法は前歯部骨欠損を伴う14人の患者に対して、10人は6-7か月間の治療期間で、また4人に対してはインプラント植立と同時に骨添加をおこなった。添加したncHAはチタンメッシュにて覆った。6-7か月後に臨床所見、組織学的、レントゲン的に評価した。結果としては1人に術後感染を認めて6週間後にチタンメッシュを除去した。7人に感染症状を伴わずに早期にチタンメッシュが露出した。歯槽骨の幅と高さは6か月間変化を認めなかった(P>0.5)。一方、著名な骨吸収を認めた(P=0.01)。補綴が入った24か月後ではインプラントの損失を認めなかった。6か月後に7人の患者から組織を採取したところ、形態学検査で周辺 (23.4%)と中心部(15.1%)と骨形態に著名な変化を認めなかった。欠損部の骨のコロニー形成の平均値は52.3%であった。結論としては、6か月後の組織学的な検査でncHAが少量認められた。ncHAによって歯槽骨の幅径は、量的にも質的にも十分に回復することができた。ncHAはOstimとして海外ですでに販売されているが、ペースト状で血液などと混合することなく使用することができる。7-10日で血管新生がも認めることも知られており、日本でも発売されることが望まれる製品の一つである。

自家骨移植をフィブリングルーで固定する

Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 2007 Sep 25

本論文の目的は自家骨移植を血小板を多く含んだフィブリングルー(血液由来の糊)を用いて、犬歯部の歯槽頂骨欠損に対して骨添加とインプラント植立術を施行し、検討した。対象となる検体は6ヵ月の犬で、歯槽頂骨欠損を左右下顎に作り3か月の治癒期間を得てから各1本のインプラントを植立した。6mmのインプラント頚部骨欠損に対して、自家骨とフィブリングルーとフラップで覆うのみのコントロール群とで6か月後に比較検討した。インプラント植立のみの郡では、垂直的骨高は(0.6 +/- 0.4 mm)であった。一方、自家骨とフィブリングルーでの郡では4.2 +/- 1.0 mmと 63%の骨欠損の修復がなされていた。結論としては自家骨とフィブリングルーの併用によって有意に骨増大がなされることが分かった。解説、GBRを用いての比較であるが自家骨のみの検討群が無いなど、デザインに問題はあるが、GBR時の骨をフィブリングルーで維持することは簡便で、かつ有効であることは自明であるが、それを数値をもって示したことに関しては興味深い報告であった。

単独植立における骨増加処置と満足度

Clin Oral Implants Res. 2007 Sep 21

本論文の目的はシングルスタンドのインプラントを行う際に、様々なボーンオーギュメンテーションを行い比較検討した。被験者は上顎、唇側に骨のギャップがある93人の患者である。すべての患者は部分的骨欠損を伴い、インプラント植立前に骨移植が必要であった。上部構造とポーセレンクラウンを装着して1年後に補綴医により、その審美状態を評価した。結果としては「The Implant Crown Aesthetic Index」の平均値が4.8で66パーセントが許容範囲内であった。患者アンケートの満足度の平均値は8.5で、満足度は100パーセントであった。患者の満足度と医療者側の満足度には正の相関関係があった。結論としては、インプラント周囲軟組織はインプラント支持のクラウンにおいて満足度が低い傾向が患者、術者双方に認めた。また、患者より術者側の方が満足度が低い傾向もあった。骨移植の詳細は検討してはいないが、術者が満足行く結果を提供すれば、患者はその結果に満足することが予想されるので、治療すべてにおいて妥協はすべきではないと結論づけられるのではないだろうか。

インプラントの減衰係数と予後

Clin Oral Implants Res. 2007 Sep 21

本報告はオッセオインテグレーションした後にインプラント体の減衰係数を調査したものである。55本の下顎骨に植立されたインプラントを3年間経過しているものを検討している。Osstellを用いて2方向から測定して調べ、骨量の形態をフラクタル分析で、骨レベルをperi-implant bone levelにて測定している。結論としてはperi-implant bone levelで沈下を測定しているが、レントゲンで見られるような骨梁のパターンとは相関関係を認めなかった。臨床的状態とOsstell の測定値では、長期により安定しているインプラントでは表示されるグラフがはっきりしており、またピークが緩い形態となっている。日常、安定したインプラントを測定することは殆ど無いが、定期的に測定することにより咬合性外傷のようなインプラントにかかっているストレスを早期に発見することができることが示唆される論文であった。

PRPと骨再生

The International Journal of Oral & Maxillofacial Implant

本論文の目的はPRPが骨増殖に及ぼす影響をウサギの頭骸骨を用いて検討している。ウサギの頭蓋骨に10mmの皮質骨欠損を作り、一群はPRPを用いて、もう一群は用いずに2,4,6,8週間後に組織学的に骨増殖を検討した。結果としては2,4,6週間では有意に違いを認めたが、8週間以後は有意な違いを認めかなかった。PRPは4週間までには著名に変化を認めるが、それ以後はあまり変化がなかった。PRPは効果を認めないとの説が有力になってきているが、初期の細胞増殖に関しては効果を認めるが、長期的には無いとの説を裏付ける報告であった。

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